ギリシャ神話の眠りの神
ギリシャ神話には、日本の八百万の神々に負けず劣らず、大勢の神様が登場します。中には、眠りの神もいるのです。
その名はヒュプノス。
今日は、ヒュプノスについてお話ししましょう。
眠りの神の一族
ヒュプノスは、夜の女神であるニュクスと、闇であるエレボスの息子です。
眠りの神が、夜と闇の子どもであるということは、やはり夜は眠るに限るということなのでしょう。
双子の兄弟は、死であるタナトスです。
死と眠りは似ていると、昔から考えられていたのですね。かの有名なハムレットの台詞の中でも、「死は眠ることに他ならない」とあるぐらいですから。
そしてヒュプノスには、モルペウスという息子がいます。モルペウスは夢の神とされ、苦痛を和らげる薬物、モルヒネの語源にもなっています。これは、夢が現実の辛さを忘れさせる……ということでしょうか。
ヒュプノスってどんな神様?
夜、闇、死、夢。
ことほど左様に、ヒュプノスの血縁者は、ダークな世界の住人です。
では、ヒュプノス自身はどんな神様なのでしょう。
ヒュプノスは、通常翼を持つ若者の姿で描かれます。美青年です。神様ですしね。
手には角を持ち、その角から眠りを誘う液体を注いで回ります。想像すると、ちょっと怪しい気もします。神様で美形ですから、許されるのでしょう。たぶん。
そんな怪しい行動も、実は人間の為です。
眠りで人々の心に安寧をもたらし、慰めを与えてくれるのです。
催眠は英語で「Hypnotism」といいますが、もちろん語源はこのヒュプノスです。
死と眠りは似ていると前述しましたが、お兄さんであるタナトスは、冷たく厳しい性格だといわれていますが、弟のヒュプノスは穏やかで優しいそうです。性格は正反対なのも、面白いですね。
眠りは、人間に許された安らぎということでしょうか。
ヒュプノスは、疲れた人の額を、そっと木の枝で撫でてくれるそうです。
もしも木の枝が額に触れたりしたら、それはヒュプノスの優しさなのかもしれませんよ。

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